ドローン撮影では、地上からの撮影では撮れないようなダイナミックかつ雄大な光景を撮影可能です。しかし、ドローン撮影に関する法律を正しく把握しておかないと、罰金などのペナルティを課される可能性が高いです。本記事では、ドローン撮影における関連法令について詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてください。

ドローン撮影のメリット

近年、広告や宣伝映像の分野でドローンを活用するケースが増えており、その背景にはさまざまなメリットがあります。まず、ドローンは動画に対して強いインパクトを与えることができます。とくにスポーツ映像やイベント撮影においては、選手や観客に危険を及ぼさない範囲で立体的な視点を取り入れられるため、動きやアクションをダイナミックに伝えることが可能です。

また、近年のカメラ技術の向上により、小型のドローンでも高画質な撮影が可能になっています。4K動画の撮影が一般的になったことで、クリアで臨場感のある映像を比較的手軽に制作できるようになりました。さらに、ドローン撮影はコスト面でも大きなメリットがあります。

従来、空撮を行う場合にはヘリコプターの手配や燃料費、操縦士やカメラマンの人件費など、多額の費用が必要でした。しかし、ドローンは機体自体の価格が比較的安価であり、操縦士がカメラ操作も兼任できるため、人件費を大幅に削減できます。

現在では、個人でも数万円程度から購入可能な機体があり、プロ仕様のものでも数十万円程度で入手できるため、予算に応じて幅広い選択肢がある点も魅力です。さらに、ドローンは低空や狭所といった人が入りにくい場所での撮影にも適しています。

小型機種であれば狭い隙間や危険な場所にも入り込むことができ、従来では不可能だった視点からの映像を撮影することが可能です。最近の機種には衝突防止や落下防止機能も搭載されており、安全性を確保しながら柔軟に撮影が行えます。

もちろん、航空法や地域の規制を遵守する必要がありますが、これらの機能を活用することで、より自由度の高い映像表現が可能です。

ドローン撮影の関連法令について解説

ドローン撮影を行う際には、法律や規制に関する正確な知識を持つことが不可欠です。ドローンは空中を飛行する性質上、歩行者や住居などに危害を与えないよう、法令に基づいた運用が求められます。

とくに商業目的での撮影や公共の場での空撮では、事前に飛行可能な場所や必要な許可・申請の有無を確認することが必須です。これを怠ると法的なトラブルに発展する可能性があり、安全面だけでなく社会的信頼にも影響を及ぼします。

航空法に基づく規制

まず、日本の航空法に基づく規制があります。航空法では、重量100グラム以上のドローンについて国土交通省への登録が義務付けられており、一定の空域での飛行は原則禁止されています。

具体的には、地上または水面から高さ150メートル以上の空域、空港周辺の空域、国土交通大臣が指定する緊急用務空域、そして人口が集中している地域（いわゆる人口集中地区）での飛行は、無許可では行えません。

これらの場所での空撮を行う場合には、関係機関への事前許可が必要となります。また、国土交通省は「ドローン登録システム（DRS）」や「DIPSアプリ」の活用方法を公表しており、これらを通じて適切な手続きを行うことが推奨されています。

重量が100グラム以下のドローンでも無制限に飛行できない

一方、ドローンの重量が100グラム以下の場合でも、無制限に飛行できるわけではありません。小型無人機等飛行禁止法が適用され、警察庁の管轄下で規制が行われています。この法律では、国の重要施設（国会議事堂、首相官邸、皇居・御所など）周辺での飛行を無許可で行うことは禁止されており、違反した場合には罰則の対象となります。

また、私有地や公園などの場所も自治体の条例で制限されている場合があり、航空法の対象外だからといって自由に飛ばせるわけではありません。さらに、ドローン撮影は民法、道路交通法、各都道府県条例、そしてプライバシー保護に関する規制にも抵触する可能性があるため、総務省も映像公開時の注意喚起を行っています。

これらの点から、特に企業や制作会社がドローンを用いた映像制作を行う場合には、ドローンに精通した専門の制作会社や法律の専門家に相談することが望ましいとされています。

飛行方法によって許可が必要な場合も

加えて、飛行方法によっても許可が必要になる場合があります。夜間飛行や目視外飛行、人や物から30メートル未満の距離での飛行、また祭りやイベントなど人が集まる上空での飛行は、通常の飛行よりも厳格な規制の対象となります。

しかし、無人航空機操縦士技能証明などの資格を保有し、一定の条件を満たすことで、許可申請が簡略化されたり、一部免除される場合もあります。

それでも、状況によっては許可が下りないこともあるため、あらかじめ代替案を検討しておくことが重要です。例えば危険性が高い時間帯や場所では、別の撮影日時や別の場所での撮影に切り替えるといった柔軟な計画が求められます。

ドローンの関連法令は年々改正が続いている

ドローンに関する法律や規制は年々改正されており、最新の情報を確認することも欠かせません。航空法や小型無人機等飛行禁止法だけでなく、自治体ごとの条例や民法、道路交通法など、多岐にわたる法令の理解が必要です。

撮影を行う前には、飛行場所の管理者や自治体に事前確認を行い、安全性と法令遵守の両立を徹底することが求められます。とくに商業目的やイベント撮影の場合は、適切な手続きを踏むことでリスクを回避し、安全かつ効率的な映像制作が可能となります。

まとめ

ドローン撮影は、地上では捉えられない雄大でダイナミックな映像を手軽に撮影できる一方、法律や規制を正しく理解しなければ重大なペナルティを受ける可能性があります。航空法では100グラム以上のドローンの登録や特定空域での許可が義務付けられ、100グラム以下でも小型無人機等飛行禁止法などで制限があります。また、夜間飛行や目視外飛行、人や物との距離が近い飛行、イベント上空での飛行なども許可対象です。撮影前には最新の法令や自治体条例を確認し、必要な許可を取得することで、安全かつ法令遵守の映像制作が可能となります。適切な準備と知識が、自由度の高い映像表現と安心運用の両立を実現します。

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